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全国売れっ子スタイリスト連載第4回「伝説の“単語帳カルテ”を生んだすごいアシスタントの現在地」/最高技術売上213万円/福岡県北九州市

月刊BOBの長寿連載、『日本全国売れっ子スタイリストを探せ!』。なかなか知ることのできない、リアルに売り上げが高い美容師さんの数字や取り組みを赤裸々に取材するこの企画。2004年に「人が好き!美容が好き!」というメッセージを掲げて始まり、名前や形を変えながら日本全国の200名近い美容師さんを紹介してきました。(現在の連載タイトルは「日本全国売れてるスタイリストを探せ!」)働き方、ライフプラン、キャリアプランのヒントが詰まっていて、掲載はいつも雑誌の後ろのほうですが反響の大きい企画です。

今回は月刊BOB2004年7月号掲載の第4回をご紹介します。

 

全国売れっ子スタイリスト連載第4回 加来元喜[BAGZY(バグジィ)/福岡県北九州市]2004年7月号掲載

加来さんの売り上げデータ

プロフィール

かくもとき/1974年4月16日生まれ。福岡市にある九州産業大学工学部電気工学科を96年3月、卒業。同年4月、北九州市八幡区の北九州理容美容専門学校昼間課程に入学、翌年3月に卒業してBAGZYに入社。その後BAGZY中間店の店長を務める。

サロンデータ

BAGZY中間店(バグジィ)

スタッフ数:10人

場所:中間市上蓮花寺

マジメにコツコツ、2003年1月~2004年3月までの最高売上は213万円


加来さんが店長を務めるBAGZY中間店の2003年1月~2004年3月までの最高売上は876万円。
加来さん個人の技術売上は2003年12月の213万円が最も高かった。

BAGZYの伝説、英単語帳のカルテ

「地味キャラで、華はない。だけど後輩は彼を目標にしたら、きっと成功すると思います」
オーナーの久保華図八さんは、こう語る。

入社してすぐアシスタントに付いた先輩は、今でも語り継がれるほど物忘れがひどい人。

~とある日のこと~

先輩「今日はどうしましょう?初めてですか?」
お客「いえ…3回目ですが」
先輩「じゃ、いつも通りのですね」

先輩「加来くん、あのお客、何しよったかな?」

加来「(またか……ぼくがしっかりしなくちゃ。よし、全部記録しよう!)」

と、そんな感じで一念発起した加来さん。
これがBAGZYで有名な”英単語帳”の誕生でした。

五十音順に先輩のお客の特徴、前回の施術内容などをすべて記録。カルテ、顧客管理カード並みに役立つ単語帳だった。肌身離さずそれを持ち歩いていた加来さんは、まさに出来過ぎたアシスタントだ。
店長になった今では、DMを8千枚書くことが目標。新規とリピートを含むすべての来店客に、イベントごとにDMを書いていく。
宛名も文面もすべて手書きが基本。会話の内容も組み込んだ、1人ひとりに合わせたオリジナルのDMだ。
さらに給料日前日には、スタッフ全員の給料袋に付けて渡すコメントも書いている。
「いつも自分を見守ってくれる人がいたから、今のぼくがいるし、それが頑張れる源。だから、ぼくも後輩をできるだけ見てあげたい」そんな思いが、彼の中にあった。

マジメにコツコツ、細やかな気遣いができる加来さんを真似することは難しい。
それでも、加来さんのようになろうと努力しようと思える後輩は、きっと成功するのだろう。

スタッフに笑顔があるから、お客さまが来てくれる


6年前、加来さんの先輩スタイリストが立て続けに辞めていった。加来さんが大好きだった、あの物忘れが激しい先輩も……。
これを境に、会社の方針が変化した。スタッフが1番、お客さまはその次、という方針を出してから、サロンが大きく変わった。

スタッフの笑顔があるから、お客さまが来てくれる。だから、トップのスタイリストたちはアシスタントや後輩にやさしい。
加来さんも、よほど混雑しているとき以外は、ヘアカラー塗布やシャンプーを自分でするように。若いスタッフの練習には、最後まで付き合ってみんなで見てあげる。

もちろん、お客さまへのサービスも怠らない。
パーマやヘアカラーの待ち時間のお客さまには、カットの合間を見て常に声がけをする。余裕のあるときは、手品を披露して楽しんでもらう。

そんな風景が普通になった。
今では大学時代の友人から、赤ちゃんや杖をついてくる年配のお客まで指名してくれるように。
売れっ子よりも『目標になる先輩』を目指して、今日も加来さんはマジメにコツコツ働いている。

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