月刊BOBの長寿連載、『日本全国売れっ子スタイリストを探せ!』。なかなか知ることのできない、リアルに売り上げが高い美容師さんの数字や取り組みを赤裸々に取材するこの企画。2004年に「人が好き!美容が好き!」というメッセージを掲げて始まり、名前や形を変えながら日本全国の200名近い美容師さんを紹介してきました。(現在の連載タイトルは「日本全国売れてるスタイリストを探せ!」)働き方、ライフプラン、キャリアプランのヒントが詰まっていて、掲載はいつも雑誌の後ろのほうですが反響の大きい企画です。
今回は月刊BOB2004年5月号掲載の第2回をご紹介します。
全国売れっ子スタイリスト連載第2回 大塚ひとみ[Peigne(ペーニュ)/愛知県松山市]2004年5月号掲載
松永さんの売り上げデータ
プロフィール
おおつかひとみ/1973年7月26日生まれ。高校を入学3カ月で中退し、1989年7月に見習いとしてmod’s hair松山店(当時は本社直営)に入社。当時店長だった斉藤雄司氏が独立してオーナーになった後もそのまま社員として残り、Peigneスタイリストに。2000年にオープンしたepi店の店長として活躍した。
サロンデータ
Peigne(ペーニュ)
オープン:1990年(本社直営のmod’s hairを譲り受け、フランチャイズチェーンサロンとしてスタート)
スタッフ数:15人
広さ:40坪
場所:93年6月、愛媛県松山市大街道から松山市の二番町へ移転(epi店は市中心部から車で20~30分の郊外の新興住宅地)
週4~5日のサロンワークで、新店舗を人気店へ導いた
3回以上指名してくれている固定客だけでの売り上げが192万円という大塚さん。
週休2日、週1日事務所勤務で、サロンワークは週4~5日。しかもサロンの場所は市中心部から車で20~30分の郊外だというから、大変な数字だ。
郊外型サロンを軌道に乗せたリーダーシップ
転勤を乗り越え、絆を深めたイベント
グループ内での転勤が発表されたが、繁華街で若い世代をターゲットにしていたこれまでの店舗とは違い、epiは立地条件や客層が新しい店舗だった。
epiへの転勤の話が来ると、泣き出すスタッフも……。
そんな中、店長を任された大塚さんはスタッフやお客さまとの絆を深めるための記念イベントを開催。
お客さまが持ち寄ったリサイクル商品の販売、お子さまカットのサービス、たこ焼き実演販売など、郊外型サロンならではの方法で、スタッフともお客さまとも絆を深めていった。
サロンの今後を不安に思っていたスタッフにも笑顔が増え、やる気を取り戻すきっかけに。
会員制システム導入で利益UP
イベントの効果もあり、家族で来店するお客さまも多くなった。
そこで実施したのが「ヘアカラー会員」システム。
パーマをメインのメニューとしていたepi店では、ヘアカラーのダメージを極力抑える必要があった。ホームカラーに走ってパーマをできるお客さまが多くなってしまうのを防ぐためだ。
そこで、1回あたりのヘアカラーを1年会員なら1,642円、半年会員なら1,857円での施術を可能に。パーマと併用して施術しても負担にならない料金に設定したおかげで会員はグングン増え、利益は大幅にアップ!
パーマ客比率は40%、ヘアカラー客比率は55%と狙いどおりの好調な滑り出しとなった。
一言で言えばがんばり屋。仕事が早くて、リーダーシップのある人
大塚さんが入社したばかりの頃、泣きながらよく相談に乗ってもらったという大先輩の長尾仁志さんは、大塚さんのことをこう語った。
「以前はよく電話で悩みごとを相談されました。でも、店長になってから弱音を吐かなくなった。相談する側から、相談される側にならなければという思いが強くなったのでしょう。もっと肩の力を抜いてもいいのでは……と思うこともあるほど。
責任感が強くがんばり屋で、目立たないように先頭に立ち、みんなを上手に巻き込める人。最近ではさらに細やかな気遣いができるようになりました。苦労をしてきて、実り始めています。
仕事も早く正確で、スタッフからの信頼も厚い。サロンが成長できたのは彼女がいたからです」
サロンのオープン当初は先が見えず、転勤が決まったスタッフも不安でいっぱいだった。そんな中、どうすれば良いか考え、サロンもスタッフも成長させたのが、大塚さん。彼女がいなければ郊外で寂れたサロンになっていたかもしれない。
冷え切ったスタッフの心に炎を灯す、まさに太陽のような女性がサロンを支えていた。
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