月刊BOBの長寿連載、『日本全国売れっ子スタイリストを探せ!』。なかなか知ることのできない、リアルに売り上げが高い美容師さんの数字や取り組みを赤裸々に取材するこの企画。2004年に「人が好き!美容が好き!」というメッセージを掲げて始まり、名前や形を変えながら日本全国の200名近い美容師さんを紹介してきました。(現在の連載タイトルは「日本全国売れてるスタイリストを探せ!」)働き方、ライフプラン、キャリアプランのヒントが詰まっていて、掲載はいつも雑誌の後ろのほうですが反響の大きい企画です。
今回は月刊BOB2005年4月号掲載の第13回をご紹介します(記事内容はすべて、取材当時のものになります)。
全国売れっ子スタイリスト連載第13回 PER-HAPS(パーハップス)/三重県桑名市]2005年4月号掲載
佐藤美和さんの売り上げデータ
プロフィール
さとうみわ/1972年8月12日生まれ。福岡県に生まれ、幼いときに三重県に転居。高校卒業後は百貨店に勤務したが、やりがいのある仕事を求めて中日美容専門学校に入学。卒業後、PER-HAPSに入社し美容の道へ進んだ。現在サロンマネージャーを務める。
サロンデータ
(有)ジャッププロジェクト
創業:1980年
全社員数:58名
美容師歴12年、指名客数は500人以上/月!
現在マネージャーを務める佐藤さんの指名客数、指名客売上は順調そのものだ。繁忙期である12月には、指名客数531名、指名売上367万円を達成した。「数字はあまり気にしないのですが、結果がいいとやはりうれしいですよね。お客さまからの支持の結果ですから」と、佐藤さん。
自分の好みや自己満足は、いったん置いておく
「カッコよくしたいのか、かわいくなりたいのか、キレイになりたいのか。見抜いて引き出して、喜んでいただく感動。それこそが美容師冥利ですよね」と話してくれた佐藤さんには、美容人生が大きく変わった過去の出来事がある。
40歳前後の主婦のお客さま、いつもストレートのカットスタイルだったが佐藤さんはパーマを勧めた。そのお客はかつて他のサロンでパーマの失敗経験があり、苦手意識があった。それでも任せてみようと、佐藤さんの提案に従ってくれたのだ。
その結果、友人に「かわいい」と褒められ、その言葉がお客自身の琴線にふれる最高の誉め言葉だった。じゃあ、もっと痩せよう、服装も変えよう、彼女はどんどん変化していき、夫からも「最近どうしたの?」と驚かれる変身ぶり。これは3年前のエピソードだが、もちろん今も指名客だ。
「毎日仕事をしていると、自分の中で納得のいかないことが多いんです。これでお金いただいていいのかな、なんてね。でも、この出来事があって、人を幸せにできる仕事なんだな、感動させられる仕事って素晴らしいなって、目の前がすっきり開けました」
自分のふとした提案と仕事の結果が、1人の大人の女性の人生を変えてしまう、美容の仕事のすごさを心底実感した。
「私の好みや、私の自己満足ではなく、そのお客さまにとっての感動を考えるようになりました」
「気づき」のある美容師であること
県内でも有数のサロンだけに、目の肥えたおしゃれなお客が多い。そんな環境だから、スタイリストとして時代を見る目が肥えていなければ、お客の支持は得られない。
「たとえばカットは日々、変化している。10年前のものとは全然違います。ということは10年後は全く違うはず。1、2年の違いは微妙でも、10年タームだとすごく違う。だからこそ、微妙な1、2年の違いを感じ取れるスタイリストでいたいですよね」
なりたいヘアスタイル、女性像は直接お客から聞き出すだけでなく、日常会話の中にもヒントはたくさん隠されていると佐藤さんは教えてくれた。
オーナーの水谷 晃さんからのアドバイスもあり、美術、バレエ、ミュージカル鑑賞と、名古屋はもちろん東京にもよく出て行く。常に自分磨きも怠らない佐藤さんの姿があった。
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