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アフターコロナに備え、美容室は何をすべき?

アフターコロナにどう備える?

まだまだ新型コロナウイルス感染拡大に対して厳戒態勢が続きますが、徐々に感染者数は減少しています。

5月14日には、39県で緊急事態宣言が解除されました。

「アフターコロナ」に備えて、美容師が今すべきこととは? 美容室向けの経営セミナーやコンサルタントを行っているラポットカンパニーの伊藤豊さんに、全国の多店舗展開サロンとのつながりから集まったデータを基に、現在の課題と今後の対策についてお話を聞きました。

美容室にふりかかる課題

伊藤さん
伊藤さん
早い地域だと2月頃から売り上げが下がり始め、3、4、5月と全国で平均して40%ほど下がっています都心部は状況がさらに厳しく、80%ほど落ち込んでいます

4月7日に緊急事態宣言が発令される少し前に休業を決めたサロンも多く、現在営業を再開したサロンも営業し続けているサロンも、軒並み売り上げは下がっていますね。

 

そんな中、どんなことが課題として挙がってくるのでしょうか。

 

伊藤さん
伊藤さん
新規集客が見込めない今、これまで以上にひとりひとりのお客さまとのつながりが大切になります。広告媒体に頼った不特定多数の集客モデルは、今後通用しづらくなります。

 

次に、スタッフの士気の低下が挙げられます。長期の休みや、通常より短縮された勤務時間が常態化すると、どうしてもモチベーションが上がらないという人が増えると思います。

 

そして、収束後はこれまで以上の衛生管理の徹底と、お客さまへの安全説明が求められます。

 

 

経営面でも課題があります。

 

 

伊藤さん
伊藤さん
採用を行うサロンは、安全に配慮して選考を行うこと広報しなければいけません。オンラインでの面接なども検討しましょう。専門学校には、それらの説明をしっかりすべきです。

 

また、スタッフの流動も起こると思います。この非常時において、給与を含めた対応について不満を抱いたスタッフは離れていきます。

 

新型コロナウイルスが収束しても、スタッフが減ってしまい借り入れたお金を返せず倒産する、というサロンも出てくる恐れがあります。

非常時に本当の信頼関係があぶり出される。まさに経営者としての資質が問われてきます。

 

 

それでは、これらの課題に対してどのように対応すればよいのでしょうか。

 

山積みの課題にどう立ち向かう?

伊藤さん
伊藤さん
さきほど挙げた課題に対して、以下のような解決策が考えられます。大阪で店舗展開をするサロン、MORIWAKIを始めとした実例とともにご紹介しましょう。

 

来店周期表をチェックし、手紙を送る

まずすべきなのがPOSで「来店周期」を確認すること。

来店周期がいつもより空いてしまっている人は、近所の他のサロンに行ってしまっているかもしれません。また、美容室に行けずメンテナンスを必要としている人もいるでしょう。

その人達に、事態の収束後また戻ってきてもらえるように、アプローチをしましょう。

 

提供:MORIWAKI

MORIWAKIでは、現在来店できないお客へDMという名の手紙を書いて送っています。

こんな時だからこそ、ただのDMではなく長め文章の手紙を書いてみましょう。

ホームケアのアドバイスや経過を気遣う一言を伝えることで、事態が収束した後の来店につながります。

 

 

お客のためにできることを出し合う

スタッフみんなで知恵を出し合い、今できることをリストアップしてみましょう。

他のサロンがやっていないことまでやりきれば、きっと“感動”につながるはずです。

提供:MORIWAKI

*高齢のお客さまへ商品宅配。様子をうかがう

*アレンジ、ケア方法などの動画配信

*家で育てられるよう、お花の種をプレゼント

*来れるようになったら来てくださいチケットの販売

など

 

 

今しか味わえないエピソードを共有する

非常時だからこそ、サロンワークの中では感動的な言葉をかけられることも多いと聞きます。

営業後に、お客さまとの間で感動的なエピソードがあったら、スタッフ全員に共有してみましょう。改めて美容師という職業のすばらしさに気づき、スタッフの士気も上がるはずです。

次の画像は、MORIWAKIのスタッフが実際にあったエピソードを、他のスタッフに共有した紙。

このように、ツールを使って報告し合うのもおすすめです。

提供:MORIWAKI

 

 

安全に配慮したことを説明する動画の配信

提供:NAP hair

サロンでの衛生管理について、SNSで丁寧に取り組みを説明することで、お客さまに安心感を抱いてもらえます。実際に消毒などを行なっている様子を見せ、「これなら足を運んでも大丈夫」と思ってもらえるよう、発信しましょう。

 

 

つながりを守る、感謝動画

提供:AIRFLOW

大阪のサロン、AIRFLOWでは来店したお客さま全員にこのような動画を送っています。

通常時より勤務人数を絞っていることで、お客さまに直接挨拶できないスタッフも、お客さまとのつながりを保てるツールとなります。

こんな時に来店してくれたお客さまに、感謝の気持ちを伝えてみましょう。

“揺り戻し需要”に備えよう!!

伊藤さん
伊藤さん
今年はこれから3回繁忙期が来ると思います。まず6・7月に、自粛期間中美容室に来れなかった人が押し寄せます。

そしていつもは落ち着いていることが多い9、10、11月も例年より客足が増えると思います。これはいわば”揺り戻し需要”。不安を抱いて街に出られなかった人が、徐々に普段の生活に戻るのです。

そして、最繁忙月と言われる12月に突入します。

こうした状況に備えて、安全に施術できる環境を整えておきましょう。

 

伊藤さん
伊藤さん
新型コロナウイルスが収束した後、まずやるべきなのが“自分の行動を反省すること”

あの行動、判断は正しかったのか? 他に最適な手段はなかったか?

今後また緊急事態が起きた時に、その反省は必ず生きるはずです。また、誤っていたことがあったなら、その対策を考えられます。

これからはより一層、心のこもった営業が求められます。

原点に返って、未来に向かって進みましょう!

 

伊藤 豊[ラポットカンパニー]

いとうゆたか/1960年12月24日生まれ。大阪府出身。大阪商業大学卒業後、(株)マンダム入社。2004年に独立し、ラポットカンパニーを設立。美容業界のコンサルタントとして活躍し、マネジメントセミナーやサロンサポート活動などで全国を飛び回る。その活躍は海外にも及ぶ。

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