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アラ40/アラ50のお手本としてアニーとクリッシーを拝むべし! 営業担当easymanの音楽食堂vol.3

前回までのあらすじ:〆切に追われるあまり心が荒みきったBOB編集部の丸投げから始まった、営業担当easymanの音楽食堂。連載1回目「心が洗われるような、いい音楽ありませんか?」はこちらから。2回目「踊るROCKに観るROCK、ちょっぴり大人のAOR」はこちらから。
美容師の音楽ライフをさらに充実させるべく綴る、名曲/名盤の世界へようこそ!

 

【序章】 Q : アニーとクリッシーって、だーれ!?  A : 歳を取ってからますますスゴい歌手なんです

easyman(以下e): (場末の居酒屋で異彩を放つ、全身黒尽くめの編集者を見て…)あれ? 今日は温泉のご当地Tシャツじゃないのか。参観日? まさか……どなたかお知り合いが……!?

BOB(以下B):ちっがーう! 学校なんて行かないし、知人はみんなピンピンしてるし! 今日の企画“大人の女性にオススメする音楽”に合わせて黒でキメてきたのにー。

e: ほー。今日のポイントは「大人の女性」なのだな。しかし相変わらず、“前もって知らせる”ってことしないよねぇ……。それで?「大人の女性」と「音楽ネタ」をどうこじ付けるつもりなの?

B: えー今回はですね、40代50代の女性美容師さんにオススメの音楽を探求することにします。さっきおうちで服を選んでいた時に「ハッ!」と思いついたの! いい企画でしょ?

 

e: 服を選んでいた時にハッ! て……まあ、いいか。で? なぜ40代50代の女性美容師さんを対象にするの?

B:女性の40代/50代って、独身・既婚問わず「節目」の意味が男性よりも深いような気がするんですよねー。で、もっと年上の女性が頑張っているのを知ったら、インスパイアされるんじゃないかなーと思って。そんな「大人の女性たち」にこそオススメしたい音楽を、あと6年で還暦という、男性としてはほぼ断末魔の人が選んだらこりゃ面白い! って思ったんですよー!

e:うーむ…断末魔は認めたくないが、いま話しを聞いていて2人の女性ロックシンガーが思い浮かんだよ。今年(2020年)で66歳のアニー・レノックス/Annie Lennoxさんと、69歳になるクリッシー・ハインド/Chrissie Hyndeさんだ。このお二人、名前くらいは聞いたことあるかい?

B:いえ…“それって美味しいんですか!?”ってくらい知らないです。もしかして、知らないと恥ずかしいような、「超」が付く有名人だったりして!?

 

e:欧米ではジョークのネタになるくらいのスーパースターだけど、日本では熱心な音楽ファン以外には存在さえ知られていないと思うよ。アニーとクリッシーは、日本でいえば“前期高齢者”になっちゃうけど、まったく衰え知らずの「制作意欲」と、近年リリースした「作品の質」は、彼女たちが若かった頃を凌いでいるからスゴいんだ。ふたりが近年に創った音楽に触れると、歳を重ねることを引け目に感じなくなるかも知れないよ。じゃあまず、クリッシーより三つ年下のアニー・レノックスから。ユーリズミックス/EURYTHMICSというロックユニットのメンバーだった時のアニーがコレ。

右上から時計回りに“SAVAGE(1987)” 、”WE TOO ARE ONE(1989)” 、“Be Yourself Tonight(1985)” 、“touch(1983)”

【第一章】 “あのスティングでさえ掌(てのひら)で転がす” アニー・レノックスを拝め!

B:きゃー! かっきー! 美人でしかもちょ~頭良さそー。アニーさん、お国はどちらの方なんですか?

e:英国はスコットランドの人だよ。泣く子も黙る「英国王立音楽アカデミー」に17歳で入学した“音楽才女”だけど、音楽一家の血を引いているワケではないの。1981年に同じ英国のデイヴ・スチュワート氏と、テクノ/ニューウェーブのロックユニット“ユーリズミックス/Eurythmics”を結成した。83年に”sweet dreams are made of this”という曲が大ヒットしてから90年に一度解散するまで、まさに破竹の勢いで80年代のロックシーンを席巻したんだ。

Eurythmics / ”SWEET DREAMS are made of this”(1983)

特に英/米でのアニーの人気は、日本では想像できないくらいスゴくてね。有名ロックミュージシャン達からもリスペクトされていて、かのsting(スティング)の音楽的栄誉を称えるイベントが催された時のこと。アニーがサプライズゲストとして舞台に現れて、一曲ピアノで弾き語ったの。それまで面倒くさそうに座っていたstingが、アニーが現れるや立ち上がって子供みたいに喜んで。アニーが唄い終わるまで立ったまま、満面の笑みで聴き入っている様子を、MTV(エムティービー:音楽専門のテレビチャンネル)で観たことがあるよ。

 

B:へー!じゃあここから「今日の本題」に突入します!アラ40アラ50の女性たちにオススメしたい、アニーさんの「アルバム」とその「理由」は?

e:オススメしたいアルバムはNOSTALGIA/ノスタルジア」。アニーはこのアルバムを60歳の時に吹き込んだの。彼女くらいのスーパースターなら、ありあわせでチャチャッと作って出しても売れるのに、それまで誰も成し得なかった高いレベルでの勝負をあえて挑んでいるように感じた。このアルバムを聴くと、アニーがロック畑で売れまくっていた時とはまったく違う勢いがあって。歳を重ねてもなお進化し続ける彼女の音楽に触れると、50半ばの男でさえフル充電されてしまうくらいだよ!

Annie Lennox / ”NOSTALGIA”(2014)

B:アニーさんのこのアルバムは、どんな感じの音楽なんですか?「ノスタルジー」ってタイトルからして“懐かしのあの名曲集”的な?

e:スタンダードナンバーのみで作った、いわゆる「カバーアルバム(cover=過去にレコード化された曲を、他者が異なる解釈で再録音すること)」だよ。アプローチは「ジャズ的」だけど、有名なロック歌手が骨休めにスタンダードで吹き込んだ“お手軽アルバム”とは、クオリティも次元も違う。アニーに備わっている音楽的な“独特さ”をたっぷりと注ぎ込んだ、滅多に出てこない大傑作だと思う。米国ではかの有名なジャズレーベル=Blue Noteから発売されたけど、驚いたことに日本のレコード会社はこの国内盤(=日本のレコード会社が解説書や歌詞対訳などを付けて日本市場用に製品化したもの)を発売しなかったんだよ! 欧米ではスーパースターのアニーだけど、日本の市場ではもう売れない音楽/アーティストだと判断された……ということだよね。

 

B:さっきの話しに出てきた「スタンダード」って、“有名な曲”とは意味が違うんですかね?

e:そうだな…例えば「サザエさん」のテーマ曲。あれは“有名な曲”だけど、スタンダードとは呼ばないの。「スタンダード」は、作曲されて以来たくさんのアーティスト達に、時代を超えて何度も何度も繰り返し歌い/弾き継がれている曲のこと。ある時代の作曲家/作詞家が書いた作品を、歌手や楽団がレコードに吹き込んだり、ブロードウェイの舞台や映画で使われた小唄の中で、特に人気の出た曲だけが「スタンダード」になるの。アニーはこのアルバムで、レイ・チャールズの十八番(=おはこ)“Georgia on my mind”を歌っているけど、これまで数えきれないくらい吹き込まれたこの曲のカバーバージョンの中で、最上位に入る「名唱/名演」だと思うよ。もしレイ・チャールズが生きていたら、絶賛したんじゃないかな。他にはビリー・ホリデイの ”Strange Fruit” や ”God Bless The Child”、ジョー・スタッフォードの ”You Belong To me” やガーシュインの ”Summer Time”、アクの強いところではスクリーミング.J.ホーキンスの ”I Put A Spell On You” も演っている。このNOSTALGIAはカバーアルバムの域を超越した作品で、ここまでになると全曲アニーのオリジナルに聴こえるくらいだよ!

 

B:(いつの間にかyou tubeで音源をチェックし始め、途中から話しを聞いていなかった編集者…)うーん、確かに。知っている曲なのに、いままで聴いたことがない感じ。まさにアニーさん独自の世界かも。

e:あ、そういえばこのアルバムは「2種類」発売されているんだ。ほれ、比べて見てごらん。

“NOSTALGIA” / An Evening With ANNIE LENNOX(CD with LIVE DVD)

B:あれれ?見た目はほぼ同じだけどなぁ……こっちは”An Evening With ”って副題があって…ディスクが2枚入ってるんですねー! もしかしてDVD? よくある「メイキング」とか「NG集」みたいな?

e:ロサンゼルスのオルフェウム劇場という会場にお客さんを入れて、NOSTALGIAの全曲を撮影用にLIVE演奏したの。ステージからお客さんに「魔法」をかけるアニーが堪能できるよ。観始めたらもう途中でトイレに行きたくなっても我慢しちゃうかも知れないよ。舞台上のアニーは、立ち振る舞いひとつひとつが美しくてカッコよくて、“自分もこんなふうに歳を重ねたい”と思わされた。 60代でこのエネルギーは、もう手を合わせて拝みたくなるくらいだよ。「CD」の内容はどちらも全く同じだよ!

 

【編集者あとがき】この夜のeasyman氏、話がヒートアップしたついでに飲み過ぎてしまい……アニーさんの話題で閉店時間までしゃべり続けたため、【第二章】クリッシー・ハインドさんの巻きは、次回のボブログ音楽食堂vol.4として後日UPしまーす! クリッシーさんって、どんなアーティストなんでしょうかね!? 次回をお楽しみにー!

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