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原宿の老舗バーバーショップから学ぶ、私とお客の関係性

※この記事は、髪書房WEBZINEにて2016年2月に取材・掲載したものです。

 

若者が行き交う原宿に、2016年当時で創業45周年を迎えるバーバーショップがある。それが今回紹介する「バーバーショップ 8 エイト(以下エイト) 」だ。新宿のバーバーで修業を積み、24歳のときにエイトをオープンしたオーナーの鈴木利昭さんは理容師歴53年。現在は35年来のパートナーである女性スタッフと一緒に営業を行っている。そんなエイトが脚光を浴びた最初のきっかけは、昭和53年に放送されたリーゼントの美しさを競い合う番組に出演したこと。今やリーゼントの名店として数多くのファン客を掴むこの道のプロフェッショナルだ。

そこでリーゼント率80%を誇る鈴木さんのリーゼントへのこだわりを尋ねてみた。まず驚きなのが使用する道具の数。通常、ヘアスタイルによって道具を使い分けるのがほとんどだが、鈴木さんは違う。1体のリーゼントに使用するのは、スキバサミ1本、そしてカットバサミ5本(基本7インチ)の計6本。

長さを整え、無駄な毛量を削ぎ、荒刈り、そしてラインをぼかすという工程に6本もの道具を使い分けるのだ。

「リーゼントはカットが命。だから道具も使い分ける。お客さまが自分でスタイリングしてもキマるようにカットしないと意味がないからね。ポイントはトップ以外に削ぎを入れないことかな。あとは仕上げのスタイリングも重要だね」

リーゼントを愛する人は必ず持っているという自前のコーム。エイトにも物珍しいコームがいくつも備えられている。リーゼントのスタイリングはすぐに固まる水性ポマードを使用するため、粗歯のコームでポマードをいったんほぐし、密歯のコームで面を整える。エイトに来店するお客の1割は自分でスタイリングをして帰るという。

 

そんなエイトの客層を大きく占めているのは、なんと20代~30代の若い男性客。

「若い子たちが次々と友達を紹介してくるんだよ。特にリーゼントを好むお客さまはこだわりが強いから、ほとんどが口コミだね。全体の6~7割は地方から来てくれているよ。遠いお客さまで北海道と沖縄から来てくれる 」

ほとんどのお客は月に1回エイトへ訪れる。1日の平均総客数は14~15人。矢沢永吉のライブがある日は、最高にイカしたリーゼントでキメるために集まったお客で朝から満員御礼だという。 バーバーを訪れる若者が増えていると言われるようになった近年。特にファッション感度の高い男性が理容室を訪れる流れがある中、残念ながら今でも閉店を余儀なくされる理容室は数多く存在している。しかし、決して流行を追うことのないエイトは今でも変わらず多くの若者からも愛されるバーバーとして健在。いつまでもお客に支持され続ける秘訣はあるのだろうか……。

「オーダーされたヘアスタイルのイメージをお客としっかり合わせること。ウエイトの位置やトップの高さ、スタイリングの仕方などリーゼントを好む人は、人とは異なる独自なスタイルを好むからカウンセリングは大切にしているよ。あとは仕事に対する姿勢かな。多くのお客さまに来てもらいたいという願望が強くなって、仕事にもお客さまにも臆病になっている理美容師が多い気がする。もっと自分の腕に自信を持って攻めた仕事をしなくちゃ。来てもらって当たり前だと思えるほど練習してね。関わったお客さま全員を気持ちよく帰してあげるのが俺たちの仕事だから 」

お客の名前はほとんど覚えてないと笑って答える鈴木さん。けれど、1度来店したお客の髪型、眉毛、クセ、好みは絶対に忘れない。自分の腕に確固たる自信を持つ1人のバーバー職人の姿には、長年積み上げてきた経験値から得たものだけでなく、心の底からお客を大切にしている計り知れない想いで溢れていた。

オーナーの鈴木利昭さん

バーバーショップ 8 エイト:東京都渋谷区神宮前3-27-11)

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