2年前のある日、Twitterのタイムラインに流れてきたあるツイートに釘付けになりました。
今日の母がめちゃくちゃ素敵だった。
ワンピースは20年前のヨウジヤマモトらしい。 pic.twitter.com/bchFmhg642— ももみ (@goodmoomin) November 4, 2018
投稿にはソバージュのグレイヘアでモードなファッションを着こなす女性の姿がありました。
2018年は「グレイヘア」が流行語大賞にノミネートされた年。あえて白髪を染めない芸能人やモデルが注目を集めていました。あえて白髪を楽しんでいる人はパリのマダム風か、自然素材のファッションを好むナチュラル志向の方という勝手なイメージを抱いていたのですが、写真に写っている女性はそのどちらでもありませんでした。
丸いサングラスに白いソックス。鮮やかなピンクのリップに大ぶりのカラフルなピアス。20年前のヨウジヤマモトをガーリーに着こなす姿に衝撃を受け、即座にインスタグラムをフォローしたことを覚えています。
ヨウジを着こなしていたこの女性は主婦の小嶋昌子さん。バズったツイートから2年、インスタのフォロワーは5.2万人を超え、最近ではモデルとして雑誌にも登場しています。
「こんなかっこいい歳の重ね方をしたい」「自分も好きな洋服を着ようと思えました」と若い世代からも憧れられている小嶋さんに、ファッションやヘアスタイルについて伺いました。
ワイドパンツとサスペンダーがかわいい! 体型にぴったりです。
ーー10代、20代の頃はどんなファッションを楽しんでいましたか?
とにかくいろいろ着ていました。人と違う、変わったファッションが好きでしたね。メンズ物や民族衣装を着崩したり、それにヒールやブーツ、ときには下駄を合わせたり。上野のアメ横が面白かったので、そこでしょっ中買い物をしていました。
ーー若い頃と今とでファッションの楽しみ方は変わりましたか?
若い頃は他人の目を一切気にしませんでしたね。今は昔よりも格段に落ち着きました。今着ている服の多くは20年以上前から着続けていて、定番ものが多いですね。定番は昔のヨウジヤマモトとユニクロのTシャツ。服装がシックになった分、手作りしたカラフルで大ぶりなアクセサリーをアクセントにしています。ファッションやヘアスタイルに関してはダイアン・キートンから影響を受けています。
全身白のコーデの差し色に鮮やかなピンクのアクセサリー。手作りだそう。
ーー着こなしで大切にしていることは?
服に負けないように姿勢に気を付けています。きれいに着てあげないと服がかわいそうなので。コーディネートは配色がごちゃごちゃしすぎないよう、色のバランスを気にしています。
確かに姿勢がいい! 弛ませたグローブとブレスレットの組み合わせがとにかくおしゃれ!
ーーヘアやメイクのこだわりポイントは?
首が長く見えるよう意識しています。コロナが始まってからはずっとセルフカット。理容学校に通っていたのでカットは得意なんです。レイヤーは入れず、バッツリ切ります。メイクは眉と口紅だけ。口紅はショッキングピンクと決めています。飽きがこず、自分の精神を落ち着かせてくれる色なんです。
ーーグレイヘアをキープしてしている理由はなんですか?
以前は人目を気にして白髪を染めていたんです。でもグレイヘアの方が自分の顔立ちや服装に似合い、自分をより魅力的に見せてくれると思っています。ヘアケアは特に何もしていなくて、眠る前に必ず乾かすことくらい。
ヘアのスタリングも楽しんでいます。揺れる大振りのピアスがお似合い。
ーーインスタを始めたきっかけはなんですか?
気持ちが落ち込んでいるときに通っていた病院の医師から「もっと自分を表現しなさい」とアドバイスを受けたのがきっかけ。娘がアカウントを作ってくれ、投稿もしてくれています。いろいろな人から反応があるけれど、直接言われるわけではないのであまりピンと来ていません。でも「かっこいい」「素敵」などのコメントはそれまで言われたことがなかったので嬉しい言葉です。
肌寒い日の重ね着コーデ。もこもこのバッグにドットの靴下。小物使いがとにかく素敵です。
ーーどうすれば小嶋さんのように素敵な大人の女性になれますか?
人の目を気にせず好きなものを着ること、でしょうか。誰かの真似はせず、自分の『好き』を貫いてほしいと思います。
小嶋さんが素敵なのは「自分」をよくわかっているから。自分の顔立ちや体型を知り尽くし、その上で『好き』を貫いています。そして何よりも自然体が魅力。
アンチエイジングという言葉がありますが、小嶋さんは歳を重ねることに抵抗がないように見えます。きっと「若く見られたい」とは思っていないのではないでしょうか。
65歳のありのままの自分が心地よく感じられるファッションを楽しんでいるだけ。その自然体のスタンスが若い世代から憧れられている要因なのだと思います。
もっと自分を見つめ「好き」を大切にしよう。小嶋さんのお話から素敵に歳を重ねていくためのヒントと勇気をいただきました。
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