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「美容師が20代のうちにやるべきこと5」を考えてみた。

メーカー主催のパリ研修にて、斎藤さん24歳
齋藤さん
齋藤さん
前回に引き続きfavorite gardenの齋藤です。今回は編集部からのリクエストにお答えして、20代のうちにやるべきことをまとめました!

1.映画をたくさん見る

顧客との会話にも役立ちますし、クリエーション活動でも普通の撮影でも何にでも役立つと思います。その際、僕は下記の3つのカテゴリにわけて、バランスよく見るようにしていました。

①自分が面白そう! と思った映画を見る

②絶対面白くないだろうけどオシャレそうだし、勉強になりそうだな……って思った映画を見る

③今話題の映画を見る

さらに、

「①自分が面白そう! と思った映画」から、自分の趣味嗜好に合う映画を見つけたら……

a)同じ監督しばりで、他の作品も全部見る

b)同じ俳優しばりで、その俳優さんが出ている映画を全部見る

c)同じ年代しばりで、流行った映画を探して見る

僕が20代のころは今ほどネットの情報が充実していなかったので、特に監督しばりは探す時点で苦労していました(笑)。俳優しばりは、レンタルビデオ屋さんに行けばまとめてあったりもしたので、探しやすかったですね。その俳優さんが、なぜその映画に出演することを選んだか? とか考えて妄想を膨らませたり、人の気持ちを考えることは美容師としての思考が深くなることにもつながるのでおすすめです。

「②絶対面白くないだろうけどオシャレそうだし、勉強になりそうな映画」も、見ると本当に勉強になるから見た方がいいですよ! 面白くなさそう=自分の趣味嗜好からは外れているということだと思うのですが、いわゆる“純文学”的な扱いだと思えばいいんです。全ての人にウケようと思っていない、その人の世界観の中で終わる、分かるひとにしかわからない……僕の中ではそういう映画だと思っています。こういう“純文学的映画”が好きな人は、話題の大作映画に全然興味がない人が多い気がします(笑)。そういうことも含めて、勉強になるんです。

③今話題の映画」は、何で話題なのか? を考えることで、世間の流れを知ることができるから。お客さまとの話のネタにもなるというところでしょうか。

20代のうちにこういう“しばり”をつけたり、カテゴリーを分けていろいろな映画を見るというのは、後々すごい武器になると思います。例えば技術が追いついて来たときに、つくりたいイメージが実際つくれるようになる。そもそもイメージが乏しい人は、今まで触れてきた物が偏ってたり、あまり映画を見てなかったり世間を知らなかったりするんだろうな。って思ったりすることがあります。

 

2.ファッションの勉強をする

ファッションデザイナーの思想を知ったり考えたりすると、面白いし役に立つと思います。特に今はインターネットですぐに探して、そのデザイナーの思考などは記事になってたりすることも多いです。ブランドのコンセプトは? どういう想いでつくっているのか? ということを知ると、そのブランドの服をデザインだけでなく買ってみたいって思うことも多くなります。この体験は美容師としても役立つと思います。

 

3.貯金や投資をする

これは自分が出来てなかったこと(笑)。本当に後悔しているので、みなさんに声を大きくして、今ここで伝えておきます! ただ“投資”っていうのは自分を磨くことでもあります。という意味でとらえると、レッスンや勉強は誰よりもしていたつもりなので、その部分での後悔はあまりないです。

一番リターンの高い投資は「自分の知識を高めることに使うこと」だと、何かの本で読みました。

 

4.未来の話をする癖をつける

・未来日記をつける
・目標を立てる

やり方はそれぞれですが、20代から未来の話をする癖をつけておくべきだと思います。過去の話をする人と未来の話をする人では、やはり未来の話をする人が魅力的ではないでしょうか。自分が魅力的であれば、自然と周りには魅力的な人が集まってきます。

僕自身も未来日記ほどではないですが、3年後、5年後、10年後にはこうなっている。というのを決めて、そのために動いていました。例えば、18でこの世界に入ったから、10年後には独立する。これは19歳の時の僕が決めたことです。こんな程度でいいので「こうなるために、こうする」という思考回路で動ける自分になっておきましょう。

 

5.(当たり前ですが)土台となる自分をつくる

まあ簡単に言えばレッスンですね。この道で生きていくためには、後から頑張るより若いうちに頑張った方がいいに決まってます。今の時代はレッスンに対しても、生き方すべてにおいて“幸せ”の価値がたくさんあって、これが正解っていうのはありません。個人的には経営者なので、若いスタッフで「レッスンよりもプライベートな時間を優先したい。それが幸せだ」という子がいたとしても、安定する基礎を作れるような仕組みをつくるのが仕事だとも思っています。

これは僕個人の考え方ですが「その方がスタッフの将来のためになるだろうな」という判断基準は、幸せの価値基準じゃなく、「自分で切り拓いたか?」「自分で自分に投資したのか?」ってところだと思います。なんとなくの技術や知識は時間が経つとともに不安になり、結局売り方ややり方、思想での勝負になります。もちろんそれはそれで大事ですが、そこにブレない土台(=技術)があるのとないのではすごい差になります。

もう1つ、僕の自論だと思って聞いてほしいのですが「若いころ、特に青春と呼ばれる高校時代の時間の価値は、25歳以降と比べて10倍以上の価値がある」ということ。美容師さんって、勉強をびっくりしたぐらいした人っていないと思ってます。(もちろん中にはいるだろうし、全員に当てはまるって意味ではないです。)大学行ってから美容師になった人ももちろんいるでしょうけど、かなりの人が高校を卒業した後、専門学校に行って就職した人。って感じだと思います。

もちろん大きな挫折を経験したことがある人もいると思います。それでも、この青春の時期に、大学行くために勉強していた人、音大に行くために音楽に向き合ってた人、プロになるためにスポーツに取り組んでいた人、美大に行くためにデッサンと向かいあってた人。客観的に自分をみて、そういう人と同じ価値の時間を過ごせていたか? と問われると、そうではないと思うんです。なぜなら、大体の人がさほど勉強もしないで遊んでたり、バイトしたりって感じじゃないかな? と思うので。

美容師になってから、毎日レッスンをするっていうのは、すごくやった気がすると思います。美容師ってめちゃくちゃ頑張ってる! 他の職業より大変だ……、って。でも、そう思う頑張りの10倍頑張ってこそ、何も考えないで過ごしていた青春時代の自分を取り返せる、そのころ頑張ってた人に追いつけるってことなんじゃないでしょうか。だから、美容師の20代は、自分に投資することが大切なんです。

できるだけ高い理想、目標に向かってやっていく方が、自分のためになると思います。

僕は今44歳ですが、今だからそう思います。もし20代の美容師さんの参考になれば、幸いです。

 

齋藤隆志[favorite garden(フェイバリット ガーデン)/鳥取県・米子市、広島県・広島市]

さいとうたかし/1976年1月15日生まれ、鳥取県出身。松江理容美容専門大学校通信課程修了。2004年、鳥取県米子市にfavorite gardenをオープン。2017年広島に2店舗目を出店。JHAファイナリストの常連で2015年、2019年にはAREA STYLIST OF THE YEAR、中国・四国エリア賞を受賞。facebook、instagram、noteなどのSNSで発信する歯に衣着せぬ物言いは多くの美容師の指針となり、つくりだされる作品は多くの美容師ファンを持つ。

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