日々状況が変わる新型コロナウイルス問題、美容室はどう対処していくべきなのか?
正解は誰にも分らない中で、このトピックに対しての立場を共有する場を作るため、月刊BOBのインスタアカウントで4月20日からインスタライブを始めました。
第4回(5月11日)のゲストはニューヨークでカラーリストとして活躍する池田瞳さん。NYから生の声をお届けいたします。
池田 瞳[Arsen Gurgov salon(アーセングルゴフサロン)]
新潟県出身。1997年に渡米。ニューヨーク州立大学を卒業後、”キング・オブ・カラー”と称されるルイス・リカリ氏の美に対する情熱に共感し、カラーリングのNo.1サロンである「Louis Licari(ルイス・リカーリ)」に入店。 ニューヨーク5番街に店舗を構えるLouis Licariにて、数多くのセレブを顧客に持つ同店のシニア・カラーリストとして15年のキャリアを重ねた。現在は、Arsen Gurgov Salonにて、Creative director/Educatorとして活躍。 類稀なるスキルで、カラーのみならず、パーマやシャンプーのハイ・クオリティな技術・サービスをスタッフに浸透させ、サロン全体の質向上に大きく貢献。 常に最先端の情報を発信し続け、テレビショーのコーナーも担当し、サロンワークだけではなく、メディアでも活躍中。今最も注目されているカラーリング技 ”Foilyage®”(フォイルヤージュ)の生みの親として、 アメリカの人気雑誌「InStyle」をはじめ、フランス版「Cosmopolitan」「Glamour」各誌にてフィーチャーされている。
https://arsengurgov.com/
本日はニューヨークでカラーリストとして活躍する池田瞳さんをゲストにお迎えしています。
こんにちは! こちらは朝の9時、いまだロックダウン中(5月11日現在)。ニート生活65日目です(笑)。でもニューヨークも今週から営業を開始するサロンも出てきます。美容室は「フェーズ2」(ニューヨーク州では段階的に解除が行われている)に分類されていて、他の業種よりも優先度が高いんです。
※ニューヨークの自粛解除の業種別フェーズ順
1.建設業、製造業、卸売業、林業、水産業
2.金融業、保険業、不動産業、小売業、美容室、プロフェッショナルサービス(建築士、会計士、エンジニア、弁護士など)
3.レストラン、飲食店、ホテル
4.芸術、エンターテインメント、教育
お店が再開したらどう接客していくかについては、美容師同士のグループチャットで議論が活発にされていて、フェイスシールドをつくった人なんかもいました。じつはルイス・ルカリ(ニューヨークのトップサロンの中でもヘアカラー技術で有名)から移って3か月でこの状態になってしまったので。でも、仲間たちと一緒に移動したので、お店が変わった感じはしないんですけれどね。
大きいサロンだと一応社員なんですよ。自由はきくけれど、正社員というかたちで雇われて、コミッションでお金をもらっているんです。もちろんフリーランス契約の人もいますけれど。
美容室に限らず、失業保険の対応がとても速かったんです。3月21日にロックダウンが始まって、その週には申請できるようになっていましたから。クビになってなくてもコロナのパンデミックで特別措置というかたちで。
[
州によっても違うんですけれど、最低でも500ドルくらい。それにプラスして、さっきのパンデミック失業保険が国からでるので、それは週600ドル。なので、失業保険がもらえる休んでいる人たちは週に最大1100ドルですね(11万円くらい。ここから税金が引かれるので約10万円/週)。
楽ではないけれど、アシスタントたちは今のほうがいいなんて子もいますよ。でも、そろそろニューヨークシティ以外は開き始めます。マンハッタンは独立記念日あたりからじゃないかなと言われていますけれど。でも、カラーができないお客さまも発狂し始めてます(笑)。
日本ではこのコロナ禍でオンラインサービスが活発です。
NYの美容師もかなり活用していますよ。facetime(フェイスタイム)を使って、お客さまにオンラインカウンセリングしたり。有料サービスというよりは、既存顧客に対するサービスですね。カラー剤は何をつかったほうがいいかとか。非常事態だから。お客に合わせたカラーを調合した「カスタムカラーキット」を送ってあげて、手取り足取りやり方を教えてあげたり。ロックダウン前ぎりぎりに来たとしても、2カ月たちますから。伸びた白髪などは相当なストレスになっています。
公共の電波でいっていいのかな笑。私はやっていないけれど、スタイリストは郊外の一軒家の野外で、カットだけしていた美容師はいました。クラウドファンディングは個人経営のレストラン、美容室がやっていましたね。大型店はスポンサーがついているところが多いから。前売り券なんかもありましたね。
ステイホームです。元アシスタントと話しましたけれど、当分仕事に戻らなくていいなんて言ってました(笑)。補償があついから、あまり心配していないんですよ。むしろこの保証を悪用する人もいるので、会社から報告して打ち切ることもできるようになっています。
先週くらいまでほぼ毎日インスタライブをやっていました。いかにも出なそうな先輩たちを引っ張り出して。あとはずっとやりたかったカラーリストのための英会話教室をはじめたんです、日本時間の木曜の夜に配信。そのフォローなどをインスタアカウントでしているので、毎日ゲシュタルト崩壊しています(笑)。意外と忙しいし頭つかっているなぁと。そして電車で通わなくて済むように最近、電動のキックボードを買ったんです。私が住んでいるクイーンズからミッドタウンのサロンまで30分くらいでした!
右はミッドタウンのマジソンスクエアアベニュー。左はタイムズスクエア周辺。
電車通勤を避けるために購入したキックボード
欧米は教育システムがないとよく言われますが、実際は?
サロンによるんでしょうけれど、私がいたルイス・ルカリは教育が有名です。いま多くのブランドサロンは技術教育をしていますよ。日本同様、早期教育がテーマですね。私たちの時代のように、3年も5年もやっていたら辞めてしまうので。教育・練習はすべて業務。タイムカートを押してやらないといけないんです。
そんなことはないですよ。ただ自分がやらないと、デビューが遅れるだけなので。みんな自分でやる人はやっていますし。ただこっちはやる気がない子をむりやり引き上げたりはしないので。
瞳さんが現在開発しているヘアカラーの技術、フォイルヤージュについて教えてください。
従来のホイルを使ったハイライトとフリー・ハンド・ペイントで行うバレイヤージュを掛け合わせたものです。トップはホイル・ハイライトで自然にナチュラルな仕上がりに、毛先にかけてのグラデーションはバリヤージペインティングで。馴染ませるために、根本近くはボカシながらペイントし、最後にペイントされたピースをホイルで優しく包みます。従来のバレイヤージュだと毛先が空気に触れてる分、明るくなりにくいという問題がありましたが、ホイルで包むことによりその問題を解決しました。ホイル・ハイライトだけの時よりも毛先に動きが出しやすく、バリヤージだけの時よりも全体的に自然な仕上がりに。このメソッドにより、カラーデザインの幅は無限大です!
写真左よりFoilyage®※(フォイルヤージュ)の施術。ホイル後。ビフォア、アフター。
根元のリタッチが150ドル(約1.5万円)からで、ハイライトが300ドル(約3万円)から、フォイルヤージュが450ドルからです(約4.5万円)。ミッドタウンの高級サロンの中では、そこまで高い料金ではないんです。
日本のように、事前の予約制になっていくと思います。あとは、「ハウスコール」が増えますね。
家に美容師を呼ぶことです。日本だと訪問美容っていうのかな?ご高齢だと来たがらない方もいます。美容師と話していると、他のお客と接しない個室型などを考えている人もいます。働き方はもともと柔軟度が高いのですが、より進む感じがしますね。私も働く日を減らそうと思っていますし。ハウスコールはサロンを通すと、サロンチャージの3倍をいただいています。
きっちり予約を無駄なくいれていけば、日数を減らしても売り上げは下がらないと思うんです。一般のお客さまも9月までリモートワークなので、自由な時間に美容室に来れるようになるので。働き方もそれに伴って変わってくのではないでしょうか。
毎週月曜日にお送りしてきた「withコロナ時代のインスタライブ」はいったん終了となります。ご視聴どうもありがとうございました。編集部では次のライブを企画中です。対談してほしい人や取り上げてほしいテーマがあればぜひお寄せください(コメント欄またはお問い合わせフォームからどうぞ)
コメントを書く