新型コロナでロックダウン中のパリの、連帯とオンラインムーブメント

私は現在フリーランスヘアスタイリストとして、主にファッション業界の撮影や、イベントなどにて仕事をしています。

↓大島さんの作品↓

3月17日を期に、予定されていたカタログや雑誌の撮影はバタバタとキャンセルされました。

３月下旬には、５月に開催予定だったカンヌ映画祭が延期。そして６、７月のメンズとオートクチュールのファッションウィークもキャンセル。

TVニュース番組のキャスターも担当しているのでそれは大丈夫かと思いきや、もともとローテーションで数名いた担当ヘアメイクのうち自家用車で通えるスタッフのみに制限されました。

つまり、現在は０収入、無職になってしまいました。

現在では、このコロナ問題を期に社会、世界全体にもどんな変化が起きるのだろうと考えながら、不安30%、期待70%で過ごしています。

「命を救うために外出しない」。ロックダウンの根本的な意味と一人一人の責任意識があるから、ロックダウン中を乗り越えられています。地球規模の危機に対面して、国境を越えた連帯感も毎日意識の底にあります。

「閉じ込められ、自由がなくなる」っていう意識はなく、家の中にいながら、世界の人々、遠く離れた家族と友人と繋がっているような気分ですね。

フランス人は「”resilience (レジリアンス）”が試される時」という言葉を口にしています。レジリアンス＝弾性、(元気の)回復力、困難な状態から立ち直る力です。

ロックダウン中の暮らしはそれぞれが工夫していますが、生活環境によっては苦労している方も多いことと思います。そんな中で、パリでは人道的な助け合いでお互いをサポートしています。

一人暮らしのお年寄りに食事を作って届けたり、家賃を少し優遇したり、閉鎖した店内を必要な食品販売に提供したり、ボランティアをしたり。

20時にはみんなで医療機関へ拍手を

戦場のような医療機関で身も心も削って24時間働いている人々への感謝と尊敬を伝えるために、フランス国民は毎日午後８時に、揃って自宅の窓から大きな拍手を送ります。命の危険と責任にさらされながら戦っている彼らの事を思って胸は詰まります。

ロックダウン、始めは不安でしたが始まって見たら結構やり遂げられ、今まで気がつかなかった色々な事に目が開いたという感覚です。これまでの価値観や生活習慣を一度リセットする絶好の機会だと思ってます。

新型コロナをきっかけに、地球環境へのポジティブな影響、国内生産の小規模な流通の必要性、消費社会の見直しなどがメディアで取り上げられてます。今までの社会の基準やルール、仕事の仕方は変わって行くのでしょうか。そんな事も考えるロックダウンの日々です。

毎日怖いニュースだけでなく、周囲でも感染したり家族を失った方々もいて、危機感と不安はあります。散歩にも友人にも会えない毎日は普通なら精神的に厳しいですよね。でも、今のフランスの空気にはポジティブなエネルギーと連帯感、危機に対してみんな一体となり乗り越えなくてはという意識が感じられます。

私も、毎日が普段にない貴重な時間だと想って過ごしていこうと心がけています。

日中はオンラインレッスン。夕方は友人とオンラインでアペリティフタイムを

ロックダウンを期に、様々なライブ配信やオンラインレッスンなどが増えました。私の朝は、現在アンジェというフランスの街に住んでいる娘と一緒にやるビデオヨガで始まります。日中はフィットネス、人気DJのライブ、ビジネスに役立つ講座、アーティストや興味ある分野のプロ達のライブ講座などを見てます。部屋のインテリアを作り変えて見たり、日頃やりたかったクラフトなどの制作に取り組んだり、読みたかった本を読んだり、花のタネを植えてみたり。何もしないでただ窓から入る太陽と風をありがたく思えてます。

夕方になるとビデオ付きのアプリを通して友達と連絡を取り、ワインを片手にアペリティフ・タイムをしている人も多いです。フランスっぽいですね。

マルシェと直取引で新鮮な食材も

食事のデリバリーやテイクアウトもありますが、

私は閉鎖されてしまったマルシェ（朝市）の商店から直接SMSでやりとりをして、新鮮な食材を買って自炊しています。（国際的な流通のストップを期に、フランスは野菜と果物は殆ど国産となりました。）

医療の現場を助けるために、大手の会社は様々な活動を始めました。多くは無償での提供です。パレル工場を持つブランドなら、ジョルジオ・アルマーニは医療用防護服を生産、ディオール、バレンシアガ、サンローランなどのファッションブランドはマスク製造。香水工場や化粧品工場を持つブランド（LVMHルイヴィトン・グループ、ロレアル、ディオール等）は消毒用ジェルなどを提供。

そんな中、オンラインでの活動も広がっています。