日々状況が変わる新型コロナウイルス問題、美容室はどう対処していくべきなのか?
正解は誰にも分らない中で、このトピックに対しての立場を共有する場を作るため、月刊BOBのインスタアカウントで4月20日からインスタライブを始めました。
第3回(4月27日)のゲスト、新井唯夫さんとのライブ内容をお届けします。
新井唯夫[FEERIE(フェリー)]
あらいただお/1965年3月17日生まれ。東京・浅草出身。美容業界に革命を起こし続けるセット&アップ界のプリンス。サロンワークの他、多くの技術開発に従事。国内外にアップの基礎技術やヘアデザイン論を広める。弊社より7冊書籍を出版。「本格セット&アップ練習帳」(小社刊)は大ベストセラーに。
http://www.feerie.jp
目次
ウィズコロナ時代の営業を考える
BOB編集部
今日はアップのプリンス、新井唯夫さんにお話を伺います。
このコロナにはみんな相当苦労をしていますよね。美容室も最終的には自粛要請にならなかったけれど、中途半端なところに持っていかれたので、経営者たちは判断が難しかったと思います。これからはウィズコロナの時代の営業になる(=ずっと感染対策が続く)から、サロン運営もかからないような万全の体制、スタッフたちもかからないような行動が求められることになります。
新井唯夫
衛生管理の徹底と密にならない工夫が必須
BOB編集部
FEERIEは営業していましたね。
衛生管理を徹底して。密にならないように、席を空けて。今大事なのは、インフルエンザなどもそうだけど、かりにコロナの人が来たとしてもうつらないくらいの対策をすること。本来的な意味で衛生管理が求められてますね。美容師はどうしてもお客に接触してしまうから。マスクはお客にも必ず提供しています。マスクは中国の工場もたくさん知っているので、「買いませんか?」っていっぱい来たけれど(笑)。
新井唯夫
BOB編集部
時短営業ですか?
当初は1時間短縮で、途中から2時間短縮しました。あとは予約数を制限したり。時短営業にすると、お客が集中するから注意が必要なんです。だからスタッフをフレックスにして、重ならないようにしています。基本的に近隣に住んでいて電車には乗らないから営業できたというのもあるんですけどね。
新井唯夫
エリアによる客数減の違いは?
BOB編集部
6店舗ありますが、店によって違いはありますか?
銀座はやっぱり遠方からのお客も多いから、お客はかなり少なかったですね。佃店(中央区佃。もんじゃで有名な月島などがある)が移転して有明(江東区。ビッグサイトなどがある)の商業施設に移転予定だったんだけど、そこが休業になってしまったので、大変でした。
新井唯夫
BOB編集部
東京は5月31日まで自粛延長で、営業再開するか迷っているサロンも多かったみたいです。
お店がある地域とかで判断は変わってくると思います。なので、その状況に合わせて臨機応変にやるべきだと思いますよ。休まなくてもいいところもあるし、休んだほうがいいところもあるはず。オーナーと現場が割れているところは、絶対ちゃんと話し合ったほうがいい。1日営業して誰も来ないんだったら、休んだほうがいいという判断もある。雇調金があるので。
新井唯夫
ヘアスタイルの流行が変わる?
BOB編集部
新型コロナのせいでヘアスタイルの流行は変わりますか?
少し短めにってのはあるんじゃないでしょうか。手入れが楽だとか、そういうのはあるよね。来店サイクルが伸びるだろうし。自分のお客にはそうしています。でも、ヘアスタイルはもちろん、ネイルもまつげもメイクもやりたいって女性たちは思ってるはず。美しくなることはメンタルに好影響を及ぼすんですよ。だからサロンにきたお客さまには絶対、元気で明るくしてあげないとダメだよね。
新井唯夫
BOB編集部
美容室に行くと、元気でますもんね。では現場のスタッフは、モチベーションを保つにはどうしたらいいですか?
ただ休んでるだけだと感性が鈍ります。腕も鈍るから、練習はしたほうがいい。モチベーションが保てていないと、美容に対する情熱が見えなくなってしまうので。アシスタントだってカリキュラムがあるから、それをやってみるとか。美容学校も休みだと思うんだけど、入学したらやることって決まっていますよね? 学生さんたちも、それを練習しておくのがいい。
新井唯夫
本物になるための1万時間を、いまから
BOB編集部
最後にメッセージをお願いします。
「1万時間の法則」って知っていますか? レベルの高いプロになるには少なくても1万時間を要すると言われていて、これは科学的に証明されています。1日3時間練習しても、10年、達人や極めた匠の領域になるには万日。つまり30年と言われます。一流のアスリートなどは活躍する期間が短いだけに、短期間でその3倍近くトレーニングに費やしているそうです。技術職である美容師にも間違いなく言えること。意識を高く持って仕事をすることや、練習をどれくらいするかで人生が大きく変わるんです。そこに向き合ってアフターコロナ時代を考えると、おのずと見えてくるものもあるのではないでしょうか。
新井唯夫
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