大阪は4月16日、東京では5月1日から順次営業を再開予定のLIMグループ。
その判断の理由やお客さまの反応、実際の対策などを、LIMのクリエイティブディレクターでプレスマネージャー(PR事業部COO)の原康博さんに聞きました。
※以下は4月22日取材時点の情報です。
正解がないからこそ、個々の主体性がサロンを変える
大阪・東京・シンガポール・ロンドンなどに22店舗を展開するLIM。
4月8日から国内店舗をすべて休業し、東京エリアは4月20日現在休業、大阪エリアは4月16日より順次営業を再開している。
東京・大阪ともに美容業は生活を維持する上で必要な事業とされ、業務継続を求められる発表があったが、東京では日々感染者が増え続けていることから、エリアごとに異なる判断となった。
休業時の素早い判断とメッセージ
原さんはこう語る。
休業に入る際、お客さまにはHP、メール、SNSでしっかりとLIMのスタンスをお伝えできていたので、予約の変更なども含めてご理解いただくことができ、再開されたら教えてください!と待ちわびる声もたくさんいただきました。
海外展開をしているLIMは、海外店舗の例をもとに緊急事態宣言前から対策の検討が進んだ。そのため、宣言と同日にすでに入っている予約に変更を連絡。予約していたお客には素早い対応があった上でメッセージが届く形になり、信頼感が増したと言える。問い合わせもほとんどなく、お客からは早い対応に驚いたという声が挙がったそうだ。
また、スタッフ間での意識共有がなされ、スタイリスト自身が休業に際して戸惑っていなかったこともお客に好影響を与えた。
スタッフには、事前にLIMはなぜ休業するのかという考えと、それぞれが冷静に捉え、今何ができるか、何をするべきなのか、どう行動することがベストなのかを考える学びの時間にしてほしいという想いもシェア。
さらに臨時休業における休業補償を全スタッフにシェアしたことで混乱なく休業に入れました。
一方で、この休業により自分たちのお客さまを失うことにつながる可能性があることもしっかり伝えましたね
主体的な再開が支持された
日が経つにつれ、スタッフから営業再開を望む声も出てくるようになった。そんな中で大阪府から業務継続を求められる発表があり再開を決めた。
早く再開したいというスタッフが大多数でしたが、もちろん「再開はまだ早いのでは?」という声もありました。
しかし、出勤するタイミングをスタイリスト個人の判断に委ねたところ、結果として大阪のスタイリストは全員出勤していますね。
ただ、アシスタントは現在も全員自宅待機です
大阪エリアの営業再開後は、まずは予約を変更してもらったお客から優先的に予約を取り、その後HP、メール、SNSでお知らせ。今まで以上に感染拡大防止対策へ取り組んでいることを伝え、再開に至った。
現在は予約制限を行い、予約がなければ自宅待機とし、人数が増えないよう現場のスタイリストが主体的に動いて調整しました。スタイリストが主体的に準備したことで、ポジティブな姿勢で再開できたことはよかったですね。
国家資格を持つ美容師として、衛生面、消毒面も徹底し、自信を持ってやれていることが、サロン全体をいい雰囲気に導いていると思います。
そのおかげで、大変な時期だけど、信頼できるお店に開けてもらえてよかった、というお客さまの声もいただいています。
LIM独自のCOVIS-19予防対策マニュアル動画もIGTVで発信している。
https://www.instagram.com/tv/B_H2zwDD_MU/?igshid=jc4deu5xry4
LIMの対策のポイント。こんなところを強化した!
- 1人のスタイリストのお客さまの予約が重ならないように時間を設定し、マンツーマンの施術を行う
- セット面は「1席」を空けご着席できるようご案内。それ以外のお席は2m以上を空けてご着席いただき施術を行う
- 待ち時間や応対時間短縮を計るため、原則、事前ご予約のみの受付
- スタッフは体温を測定してからマスクをつけて出勤。手指消毒後、身につけてきた衣類・鞄すべて除菌してからフロアに入る。その後手洗い30秒。手洗い後消毒
- 店内、トイレ、エレベーターの除菌。手の触れる可能性があるものは特に念入りに。
- 使用前、使用後の道具の消毒
- 待合席の間隔を開け、なるべくお待ちいただく時間が少なくなるように予約を調整
- 共有で手が触れる可能性のあるディスプレイは廃止
- ロッカーの鍵の受け渡しなどは、すべてトレイで行う
お客様にお願いしたこと
- エレベーターの除菌は行っているが、階段でのご来店をお勧め
- ご来店後、手指の消毒にプラスして衣類の除菌
- 会員カードはご提示のみ。接触を防ぐ
- 非接触式体温計で測定(これは休業前から行っていた)
- 雑誌の提供は控える
- できるだけお客様と従業員の直接・間接の接触を減らすため、キャッシュレスをお勧め。現金の場合はお釣りのお受け取り後、アルコール除菌をお勧め
- ご来店時はできる限り、お子様・お連れ様の同伴は控えてもらう
美容室は必需?実際のお客の声
美容室が「生活必需」かどうか明確な答えは出せない。しかし、散歩が推奨されているように長期の自粛の中でリフレッシュは必要不可欠だ。
家族とカン詰め状態の家の中でのテレワークでは「静かにして!」と頼みながらオンライン会議に参加したり……家にずっといることもストレスがたまりがちだと話してくれたお客さまが印象的です。
“美容室でさっぱりすることって、生活に欠かせないんですね”と。
適切な対策のもとでのリフレッシュの提供は、長引く自粛の中での社会貢献ともなっているのかもしれない。
オンラインでお客さまにできること。LIMスタッフの発信と教育
美容師としては、お客さまのためになることを探さないと。それは発信もそうだし、いつか来ていただけるときのための準備・教育もそうです。
「状況を冷静に把握し、他責にせず、自ら考えて行動すること」を軸に、この状況をポジティブにとらえる行動を、LIMのスタッフ各自が考えてくれています
セルフカットやアレンジ動画を発信
★セルフ前髪カット動画は特に反響あり!顔も覚えてもらえるのでおすすめ
ツカノヒカルさん @hikaruyoruni
★セルフアレンジ動画
横畠由佳さん @yokobatake
小林 亜珠さん @amisuke28
1年生・2年生、スタイリスト1年目のレッスン方法
新入社員
- メーカー各社が発信している教育動画を活用
- シャンプーマニュアルやLIM監修商品「LISARCH」の資料をもとにシャンプーについて知識を深める
2年目以降アシスタント
- ノート提出(スタイル写真から髪質診断、スタイル分析、展開図、施術内容を書き出す)
- スタイリストである講師が個別に対応し、アドバイス
スタイリスト1年目
- 映画や本からファッションやカルチャーの歴史を学び、教養を深める
- チームに分かれ、ファッションブランドやデザイナーについて深掘りして後日プレゼン
原さんからのメッセージ
今回の苦難を乗り越えたあと、美容室のあり方や美容師のあり方、教育方法も大きく変わっていくと思います。
大事なのはレッスン1つひとつの内容ではなく、どんな状況になってもポジティブに捉えて自ら動ける習慣を身につけること。
このマインドを育てることが、教育に関して今最もやるべきことなのではないかと考えています
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