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favorite garden 齋藤隆志が考えるこれからの美容室

『月刊BOB』のウェブメディアとして3月から始動した『ボブログ』。このコロナ禍で、美容師さん同士だから共感できること、提示できる意見や課題が多く存在していると感じています。今月から、オーナー・スタイリストでありながら、ブロガーでもあるfavorite gardenの齋藤隆志さん、THE ORDER 四宮桂佑さんに、半年間『ボブログ』への寄稿をお願いすることになりました。テーマは編集部と相談しながら、齋藤さんと四宮さんが今書きたいことを書いていただきます。

 

齋藤さん
齋藤さん
みなさん初めまして、favorite gardenの齋藤隆志です。鳥取と広島、2店舗の美容室を経営しています。

 

今はどちらかというと経営者としての仕事の割合が大きくなっていますが、生涯現役の美容師として活躍できる人でありたいと思っています。

初めてのボブログへの寄稿でどんなことを書くか悩みましたが、やはりコロナウイルス関連の話題を取り上げたいと思います。今僕自身が、favorite gardenがどんな対応をしているか? 僕自身がどんなことを考えたか? ということから。

 

接客業のマスクは、お客さまに失礼!?

コロナウイルスが日本で騒がれ始めたのは、2月の中旬くらいだったと記憶しています。今となっては当たり前のことですが、マスクを着用し沖縄のコンテスト審査員の仕事に向かいました。ちょうどマスクの買い占めがある、というニュースを耳にし始めた頃。僕自身もアルコールスプレーなどの消毒アイテムを探したり、マスクを探したりをしていた時期でした。

直感的に「これは、ヤバいかもしれない」と思い、会社からスタッフにマスク営業の徹底、こまめなアルコール消毒を指示。都市圏や他の業種に比べても、少し早く対応を始めていたと思います。

沖縄のコンテストで一緒になった東京のサロンさんや雑誌社の方と“マスク営業”ってどうなんですか? という話をしました。2月当時は、接客業である美容師がマスクで顔を隠し、表情がわからない状態で仕事をするのはどうなのか? と疑問に思うことが普通で、美容業界ではそういう考え方があたり前だったかと思います。

僕はその時に「マスクするべきだし、マスクしてもお客さまは何とも思わないし、むしろ評価高いですよ」と言ったのを覚えています。

最初は美容師がマスクをして営業することに理解してほしい、とお客さまにお願いしていた程でしたが、今は美容師もお客さまもマスクをつけた施術がスタンダード。接客業にマスクは必須アイテムになっていることは言うまでもありません。

 

スタッフの「怖いですね……」が店を閉めた理由

鳥取県でコロナウイルス感染者が初めて出た4月頭ごろ、僕は融資のことで銀行へ相談に行きました。自分の車を売って、やれることをやりました。その後すぐに全国的な緊急事態宣言になることが決まり、お店の営業も自粛を決めました。

東京、大阪、名古屋の一部の美容室では営業を自粛していたころ。自粛するのも営業するのもどちらも正解で不正解。そんな時だったので、今のことだけじゃなく今後もみんなを守るため、スタッフを守るため、会社を守るため。何を優先するのが正解なんだ? と常に悩んでいました。

「とうとう、鳥取でもコロナの患者さんがでたね」って会社のグループラインに送った時、スタッフの1人が「怖いですね……」って言ったのがきっかけになりました。いろいろどうするか悩む中で、僕自身、スタッフが怖いと言ったら閉めようということだけは決めていたからです。

その2日後には、入っていた予約にすべてお電話を差し上げ、ゴールデンウィーク後まで自粛することにしたことを伝えてキャンセルさせていただきました。

休業を決めた後はお金の面での心配はかなりありましたが(どれぐらいこれが続くのか? わからないこともあり)、逆にお店を閉めるか閉めないかでどうしよう、どうしようって悩む必要もなくなり、むしろ気持ち的には楽になりました。

 

これからは、生き残ったら勝ち組

 

営業自粛中にお店自体をプチ改装しました。セット面を減らして一席ずつの間隔を広く取り、さらにカーテンレールとカーテンをとりつけ個室感覚になるようにリフォーム。セット面を減らすという選択はお店としての生産性を減らすこと。さらにカーテンにお金をかけるのは勇気がいることでした。しかし、ここでカーテンレールとカーテンを安っぽいものにしてしまうと、もっとお店の売り上げに良くない影響があるだろうと考え、合計50万円ほど投資しました。

 

営業を自粛してお金が入らなくなり運転資金を借りる中、守りに入りたい気持ちはありました。けれど、攻めない限りはジリ貧にしかならないと考えたからです。

また、これはかなり長い戦いになるはずだ。生き残ったら勝ち組。だとすれば、今後必要な物にはお金をかけるべきだと思ったからです。

さらに、営業を開始するにあたってすべてのお客様にDMを送らせていただきました。それまでに、席の間隔を広げ、カーテンをつけることなども全部書いて送りました。営業を再開したゴールデンウィーク後は、マスクの入手も困難、値段も高かったのですが、必要経費だと割り切りました。

その他にも、できることはすべてやろうと思い下記のことを実施しました。

・ドリンクサービス中止の代わりに、マスクのプレゼント
・お客さまへの体温測定(37度以上はお断りしています)
・お客さまに使い捨ての手袋の使用をお願い
・紙の雑誌をすべて廃止し、iPadでご覧いただく

 

今の常識は、未来の非常識。今の非常識は未来の常識かもしれない

2月には「そこまでしないといけないの?」って思うことばかりだったと思うんです。でも、今後の時代の流れを冷静に考えた時「そこまでしないといけないの」が今後は当たり前になるでしょう。それなら誰よりも先行して「そこまで」をやるつもりです。

結局、今記事を書いている今7月中旬現在、マスクは当たり前、入店前の体温測定も当たり前になっています。

 

今回のことから僕自身が学んだことは、今ある当たり前や常識は、未来の非常識になっているかもしれない。逆に今してる大袈裟なことは、未来の常識や当たり前になっているかもしれないということ

 

今まではこれでよかった、今まではこうだった。だからこれでいい、ではダメだ。ということに気づかされたコロナウイルスの問題。

気がついているのに変えたくない人、気がついてない人、いろいろ考えてる人。

いろんなことが浮き彫りになったし、今後その差が大きく開いてくるのではないかと思っています。

 

齋藤隆志[favorite garden(フェイバリット ガーデン)/鳥取県・米子市、広島県・広島市]

さいとうたかし/1976年1月15日生まれ、鳥取県出身。松江理容美容専門大学校通信課程修了。2004年、鳥取県米子市にfavorite gardenをオープン。2017年広島に2店舗目を出店。JHAファイナリストの常連で2015年、2019年にはAREA STYLIST OF THE YEAR、中国・四国エリア賞を受賞。facebook、instagram、noteなどのSNSで発信する歯に衣着せぬ物言いは多くの美容師の指針となり、つくりだされる作品は多くの美容師ファンを持つ。

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