心でつなぐ・絆を守るリスクコミュニケーション最強ツールは「電話」だった！

まだまだ新型コロナウイルスの不安がぬぐい切れない状況が続いています。大切なスタッフさん、お客さまを守るための衛生管理も重要ですが、その取り組みを正しく顧客に伝える必要があります。この“リスクコミュニケーション”の取り組みについて、先進サロンの事例を紹介します。

※会員制マネジメント誌 月刊『NEXT LEADER』8月号掲載のサロン実例を再編集したものです。

リスクコミュニケーションの秘密兵器、それは“電話”

紹介するのは鳥取県鳥取市に2店舗を構えるトータルビューティサロンi-dee（有限会社i-dee／松岡真代表）の事例。緊急事態宣言が7都府県で発令された4月7日には、県内での感染者はいなかったものの、そのことが逆に「県内でのクラスター1例目になりたくない」という不安を生み、休業するお店が相次いだのだそう。しかし、美容室は衛生管理のプロ。松岡代表は万全の対策を期した上で4月もゴールデンウィークも従来通り営業をすることにしました。
席数減による3密回避や店内・スタッフ・顧客の消毒の徹底に加え、松岡代表が着手したのは「顧客への電話」でした。

電話した相手は

• 既に予約が入っている顧客  来店の意思確認、いつもと違うオペレーションであることの説明
• 従来の来店周期に照らすと足が遠のいている3～4カ月前に来店した顧客   ヘアスタイルの状態など、お困りのことがないかおうかがい→ご来店の意思があれば衛生管理のご説明

「コチラから電話をかけるなんてテレアポみたいなこと、お客さまに嫌われないか心配…」という読者のみなさんも多いのではないでしょうか。
ですが、実はリピートで関係が作れている美容師さんだからこそ、かけてみると喜んでくださるお客さまが多かったのだそう！

松岡さん

来店時間分散のお願いや、事前に感染者の多い地域に行かれたかの確認ができて、結果的にオペレーションをスムースにすることに役立ちましたが、まずはお客さまの心身のご健康が心配だったのです。DMやSNSという手もありますが、お声が聴きたいと思い、僕が率先して電話を始めるとスタッフに広がっていきました。
外出自粛で人に合わない日が続いていたお客さまが、僕らの声を聞いてとっても嬉しそうにしてくださったのが印象に残っています。

実際に電話をかけたスタイリストの小林真奈美さんにも話を聞くと…

小林さん

足が遠のいているお客さまにお電話するのはご迷惑じゃないだろうかと心配しましたが、折り返しお電話くださり「大丈夫？」「気を付けてがんばってね」などとあたたかいお言葉をくださる方も。とてもうれしく、逆に応援していただけたことで、絆を実感できました。

サロンの“頭脳”ビューティコーディネーターが考えた予約者への電話マニュアル

i-deeには予約やオペレーションの管理、接客のスペシャリスト「ビューティコーディネーター」が在籍しています。その岡部ちひろさんに取り組みを聞きました。

岡部さん

お客さまにこちらからお電話をするのは初めてのこと。どのようにお話を切り出して、必要なことを聞き・案内するかのマニュアルを作成しました。かけながら問題点を洗い出し、毎日ブラッシュアップさせています。

新しい文化「オンラインカウンセリング」の可能性

先述のマニュアル7番目の通り、i-deeではこのコロナを機にオンラインカウンセリングを取り入れています。希望者はLINE公式アカウントに登録してもらい、LINE電話で通話するというもの。マスクを外した状態で悩みやオーダーが聞けるというメリットがあります。

松岡さん

絆づくりはサロンの外でもできることがあるとわかったことは収穫でした。アフターコロナも、オンラインカウンセリングはi-deeのオリジナリティ、新しい価値として提案していきたいです。

小林さん

「いつもと同じでいいわよ」とか「恥ずかしい」とお断りをされることもあったり、まだまだ課題はありますが、事前に要望をお聞きすることで準備ができるなど、提案の質が上がるなど手ごたえは感じています。オンラインカウンセリングって、新しいトレンドですよ！と自信を持って提案していければいいなと思っています！

予期せずコロナが生み出した、顧客と美容室の新しいコミュニケーションの形。
3密避けて、親密な関係性を築くニューノーマル・オンラインカウンセリング。全国サロンのみなさんも、導入を検討してみてはいかがでしょうか？

※月刊『NEXT LEADER』8月号本誌で具体的なオペレーションの変容やオンラインカウンセリングのノウハウを実績と合わせて紹介しています。続きは本誌でチェック！