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やめない、ブレない、流されない。遅咲きのバンドが教えてくれたこと

2016年秋、元バンド少年であるveticaの高木貴雄さんがあるロックバンドのリハーサルスタジオを訪ねました。

リハを行なっていたバンドは人間椅子。1989年に人気テレビ番組『イカすバンド天国』に出演。確かな演奏力とネズミ男に扮した鈴木研一さんのビジュアルが話題を呼び1990年にメジャーデビュー。しかし思うように売れない時期が長く続きました。

ところが数年前から動画サイトやフェスへの出演を通して新たなファンが増えていき、セールスやライブの動員は右肩上がりに。そんな遅咲きのバンド、人間椅子のメンバーは全員50代半ば。しかし新規でつくファンは彼らよりもずっと若い世代が中心です。

これは、美容師に置き換えてみると、50代半ばの男性美容師が若い新規客をどんどんつけているということ。そう考えると驚異的です。高木さんはその秘密を聞くため、スタジオを訪れたのです。

インタビューから5年。彼らのファンダムは国内だけでなく海外にも広がっています。2019年に公開されたMV『無情のスキャット』の再生数は700万回目前。そのコメント欄には海外からの書き込みも多く、彼らの人気が国内のみならず海外へも広がっていることがうかがえます。

 

 

今年の2月には初の海外ワンマンツアーをイギリス、ドイツの3都市で開催、各都市で熱狂を巻き起こしました。
9月25日には初めてのドキュメンタリー映画『映画 人間椅子 バンド生活三十周年』が公開。昨年のワンマンツアーの千秋楽(東京・中野サンプラザホール)やドイツ、イギリスでのライブ映像も収録されています。

 

 

映画の公式サイトはこちら

 

映画の公開を控えた今、改めてインタビューをご紹介。SNS隆盛の今こそ、彼らの「ブレない強さ」からヒントを得られるのではないでしょうか。

ブレないからこそ、時代も世代も越えられる。

(左から)ナカジマノブさん(Dr/Vo)、和嶋慎治さん(G/Vo)、鈴木研一さん(B/Vo)、高木貴雄さん

写真/福岡秀敏

 

高木 今日は美容師代表としてひとつのことを長く続ける秘訣を聞きにきました。美容師は離職率が高くて、40歳を過ぎても現場に立てる人が少ないんです。人間椅子の皆さんがバンドを今まで続けられてきた秘訣は何でしょうか?
和嶋 僕と鈴木くんは中学からの友達だから、音楽をはじめた頃の気持ちのままでいられる。それは大きいですね。でも正直、やめるという考えが頭をよぎったことはあります。観客も少なくて貧乏で、音楽だけでは食べていけないからバイトもして。自分たちの音楽はいいはずなのになかなか受け入れてもらえなかった。曲調や歌詞をわかりやすくした方がいいだろうか、と葛藤したりね。30代の頃でした。
鈴木 でも、人間椅子が大好きだというファンが数は少なくても常にいたから、なんとかコンスタントにCDも出せていたんです。
和嶋 それが幸運でした。結局、自分たちの美意識に素直になったら迷いがなくなったんです。
高木 僕はまだまだ自分の色を模索中なんです。
和嶋 継続すれば「できること」が増えてくる。すると自分らしさが見えてくるんです。僕はそれに20年かかりました。
鈴木 高校生の頃もよくスタジオに入っていたけど、今考えればまあイマイチだったよね。
和嶋 若かった(笑)。でも続けてきたからこそ、今でもどんどんよくなってる。1人では出せない音になってきたよね。
高木 さっき演奏を拝見しましたが3人とは思えない迫力で、若いファンが増えるわけがよくわかりました。40代や50代の美容師に若い新規のお客さまが増えているのと同じことですよね。そう考えると本当にすごいと思います。
ナカジマ 確かに、こういうバンドはあまり聞かないですね。
和嶋 たいてい、バンドとファンは一緒に年を重ねていくものだよね。
ナカジマ 僕たちのやっているハードロックは普遍的だから、いつの時代にも好きな人がいるのが強みですね。
鈴木 僕は昔はKISSばかり聴いてたけど、今はそんなに聴かなくなった。歳を重ねると「聴く音楽」は変わるかもしれない。でも「やりたい音楽」は変わらないんです。
和嶋 そう、30年前の『イカ天』の頃からやっている音楽がブレなかったことが大きいと思います。若い人たちは自分たちに寄せてくる人をかっこいいとは思わないからね。
高木 昔の動画を拝見すると音楽はブレていないけれどビジュアルはかなり変わりましたね。
鈴木 昔は腰まで髪を伸ばしカミソリみたいなもので自分で切ってました。
ナカジマ 僕も伸ばしてたよ。縦巻きのクセ毛だから、伸ばすとお蝶夫人みたいになっちゃう(笑)。
高木 ノブさんはモヒカン、和嶋さんはハードパーマが似合うと思います! 僕、ぜひ切りたいです。セルフカット派の鈴木さんにはヘッドスパ。疲れを癒していただきたいです。他にこだわりはありますか?
ナカジマ ライブでは全員がふんどし着用ですね。
高木 ふんどし!
和嶋 最初は鈴木くんだけが着けてたんだけど、ある日みんなで着けてみようってなって。
ナカジマ そうしたら凄い一体感が生まれた(笑)。
高木 今度試してみようかな(笑)。ステージで心掛けていることは何ですか?
和嶋 常に最後のライブのつもりで全力を尽くすこと。そしてミスを恐れないことですね。
鈴木 黙って立って演奏すれば正確に弾けるのに、ライブではついかっこいい方を取っちゃうよね。
和嶋 歯で弾いたりすると確実に下手なのに、お客さんは喜んでくれる(笑)。すると、僕たちももっと熱くなる。ちょっと怖い音楽だけれど、すごく楽しんでやってるんですよ。

 

※このインタビューは『Ocappa』2016年12月号に掲載したものです。

あれから4年。35歳の高木さんの「今」。

当時30歳だった高木さん。今もveticaのディレクターとしてサロンに立ちながら、クリエイティブ活動や後輩の指導にあたっています。あの経験が今、どのように生かされているのでしょうか?

高木さん
高木さん
お話を聞いて、目の前で演奏もしていただいて。『これが本物か!』と圧倒されました。時代やトレンドに関係なく、自分たちの好きな音楽を追求してきた姿には、美容師として姿勢を正された思いでした。強いメッセージを押し付けるのではなく曲で表現し、感じ方は聞き手に任せている点も、勉強になりましたが、何よりも「続けること」の強さを学びました

 

先日35歳を迎えたばかりの高木さん。心境の変化はありましたか?

高木さん
高木さん
あの時の自分は30歳。35歳になった今、「ブレずにいること」の大切さを痛感しています。人間椅子さんとのインタビューでは、「男性美容師40歳定年説」に触れましたが、僕もあと5年で40歳。美容師として、人間としてどのような40代を迎えるのか、あの頃よりも現実味を帯びてきたし、模索してもいます

 

人間椅子さんも30代は葛藤していたとおっしゃっていました。

高木さん
高木さん
あの頃よりもInstagramを中心としたSNSがずっと盛んになっています。新規集客のことを考えれば、今のトレンドに合わせたスタイルを投稿した方がいいのかもしれない。でも、発信したいのは自分らしいちょっと攻めたスタイル。そのバランスが今の時代はなかなか難しいですね。若いスタッフにも「飲まれすぎないように」とアドバイスはしているのですが、自分でも迷います。そんなときには人間椅子さんに教えていただいたことを思い出すんです。自分は泥臭く技術を身につけてきた世代。媚びずに泥臭く、やりたいことを貫いてきた人間椅子さんに勇気をいただきながら、40歳に向けて自分らしさをさらに磨いていきたいと思います

 

 

〈Profile〉
人間椅子:和嶋慎治(G, Vo)、鈴木研一(B, Vo)、ナカジマノブ(Dr, Vo)による3ピースバンド。高校の同級生であったギターの和嶋慎治と、ベースの鈴木研一により1987 年に結成。’89年、TBSテレビ系列の「平成名物TVイカすバンド天国」に出演し人気を博す。‘90年メジャーデビュー。2004年ナカジマノブがドラマーとして加入。高い演奏力に裏打ちされたハードなサウンドに文学的な歌詞を載せ、独自の世界観を表現している。デビュー30周年を迎えた今年、初の海外ワンマンツアーを成功させた。

公式サイトはこちら

高木貴雄:1985年9月18日生まれ、兵庫県出身、NRB日本理容美容専門学校卒業。1店舗を経て、’07年VeLO入社。現在veticaのディレクターとしてサロンワークの傍ら、撮影やヘアショー、コンテストなど多方面で活躍中。

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