革製品ブランドwajiの東京オフィスに潜入
「猿江」という地名を聞いてすぐ下町を連想するのは、高純度の江戸っ子か東京マニアだけなのか。
そんな下町ど真ん中ストライクの江東区、住吉駅から徒歩5分の住宅街にwaji Tokyo Officeが移転オープンしたのは、COVID-19騒動まっただ中の4月末だった。
waji(読み:ワジ)とは、創業者の菅野裕樹氏が2016年1月に立ち上げた革製品のブランドで、大阪は文の里に工房をもつ。
「意表を突くものづくり」を信念にwajiが世に送り出している革製品は、選りすぐりの極上革を贅沢に使い、それでいてユーザーの日常にさり気なく溶け込む。
実際に手に入れてみて感じたのは、店頭に展示してあった時よりも、使っている時のほうがかっこよく見えるということだ。
ガラス加工工場跡に宿る昭和の息吹
今回移転した猿江の新オフィスは、この地で80年ほど続いたガラス加工工場の空き家。
建物は二棟の住居に連なった工場棟という「長屋造り」で、いまでも壁を隔た向こう側にはふつうに世帯が暮らしている。
実はこの長屋、2019年末に解体し更地に戻す予定だったが、昭和の歴史の重さを支えてなお余りある堅牢さに気付いた家主殿が、解体直前に思いとどまり賃貸物件として存続させることになった。
そしてこの度、wajiが歴史のバトンを受け取ったというわけだ。
ここがホームグラウンドのwaji営業部:関根塁氏が、外観・内装とも使えるところはすべて残しD.I.Y.で大改修を決行(電気工事は危ないのでプロに!)。
異業種の職人仲間たちのサポートを受けて、毎日毎日少しずつ進めて完成……いや、とりあえずオープンさせたのだ。
実はこの関根氏、営業マンでありながらカバン制作者育成の学校で「て・に・を・は」から一通りを学んだというセミ職人だ。
入り口を開けると、また入り口⁉ 廃材となった引き戸にシザーケースとエプロンが展示してある。迎えてくれるwaji Tokyoの関根塁(るい)氏は 職人家系の江戸っ子だ
ものづくりに徹底的にこだわるwajiの東京オフィスだから、先人が80年間に残した「知」と「汗」と「涙」を跡形もなく拭き取ってしまうようなことは、絶対にしない。
「がらがらがら」と戸を引いて足を踏み入れると、ガラス加工工場だったころの歴史がここ・そこ・あそこに残っていて、まるで発掘現場に潜入したようなワクワク感。
壁には“あしもとにちゅうい”、柱には“げんぶつかくにん” などの注意書きが白いチョークで刻まれ、和式のトイレは天井が通気口代わりに吹き抜けている(音が少し漏れるので要注意!)。
その床に敷き詰められた“おにぎりタイル”は、ノスタルジーどころか逆に新鮮だ。
ギャラリーに続く階段。80年の間にどれだけの人とモノが行き交ったのだろう。優しさが滲み出てくる注意書きだ
階段をきしませながら2階へ移動してまず目に飛び込んでくるのは、父親の腕みたいな太さの梁といさぎよく吹き抜けている天井。
建築の足場やはしごを再利用したディスプレイ台には、代表作の“glart”(グラート:glass+artの造語でwajiいちばんの自信作)をはじめ、特殊ななめしを施した極上革と絶妙な色に染め上げたキャンバス布を組み合わせたバッグなどがゆったりと並んでいる。
特に美容師必見!の「シザーケース」と「エプロン」は、その場で関根氏に相談しながらセミオーダーも可能だ。
革職人とガラス職人のコラボ”glart(グラート)”は wajiの代表作
ここはカバン製品の物流センターとギャラリー(その場で買えます)だが、こじんまりとしたレンタルスペースとして利用することも可能。
「密」に注意が必要な期間は事前に予約してからの訪問をお勧めするが、たまたま通りかかったひとに「お、ちょっと入ってみようかな」と思わせる心地よい空間でゆっくり品定めするひと時を、「新しい生活様式」の中で楽しんでみてはいかがだろうか。
今週、表参道でwajiの展示会開催決定!
7/13(月)14(火)15(水)の三日間、原宿の「裏参道ガーデン」でwajiシザーエプロン/シザーケースのブランド「aruci(アルチ)」の展示販売会を行います!
・13日(月)13:00-19:00
・14日(火)10:00-19:00
・15日(水)10:00-17:00終了
「裏参道ガーデン」 2階ギャラリー 東京都渋谷区神宮前4-15-2 (地下鉄「表参道駅」A2出口から徒歩で5分くらい)
waji Tokyo Office/Delivery Center[ワジ トウキョウオフィス/デリバリーセンター]
〒135-0003 東京都江東区猿江1-10-5
営業部 部長 兼 MD:関根 塁(セキネルイ 080-5310-5926)
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