100円均一でおなじみ、ダイソーの着せ替え人形エリーちゃん。
このエリーちゃん、実はすごいクセ毛の持ち主。さらに、生え際の髪はすべて浮いており、全頭にランダムに配置された毛穴のせいで分け目は変えづらく、毛量調整も困難を極める、まさに美容師泣かせの女性です。
エリーちゃんの難しすぎる髪に対応できる美容師さんって、存在するの!?
この美容業界に多数存在する、名だたるコンテストを制した“コンテスター”であれば、エリーちゃんの髪をも制することができるかもしれない。
「100均のエリーちゃんを、本気でかわいくしてもらえませんか?」連載第1回目はこちらから。
第2回目を担当していただく美容師は、高知県にある美容室niko hairの氏川りのさんです。
2016年 「JHA」 AREA STYLIST OF THE YEAR 中国・四国エリア賞受賞、2017年、2018年、2019年「JHA」 RISING STAR OF THE YEAR ファイナリスト
2020年 「ルベル I.D.2020」IMPRESSIVE PRIZEなど、その実力は本物。
エリーちゃん&氏川さんのリアルカウンセリングスタート
氏川:エリーちゃんお久しぶりです!今日はどんなスタイルにしたいですか??
エリー:氏川さん! 私、春から東京へ上京する事になりました! なので……今のお姫様スタイルを卒業したいなと思って……
氏川:おめでとう!! こんな女性になりたいってイメージあったりする??
エリー:大人でしっかり自分を持ってて、透明感があって、でもイメチェンするなら思いっきりイメチェンしたくて!! まとまってなくてごめんなさい……
氏川:いいねいいね!!イメチェン! エリーちゃん肌が白いからハイトーンでハッキリしたカラーも似合うと思うよ!!
エリー:あ! ハイトーンカラーやってみたいと思ってました!!
氏川:メイクもテラコッタとか色味を変えると派手髪でも大人っぽくなれるよ! メイクも今日はレクチャーするね!!☺️
エリー:はい、お願いします♪
今回はリピート客としてサロンに参上したエリーちゃん。しかし相変わらずのクセ毛っぷりと、ハチ下はほぼ髪が生えていないツーブロックぶりは健在。今回もコンテストで腕を鳴らした美容師を困らせるのか……と思いきや。氏川さんを一番悩ませたのは……。
「エリーちゃんは顔がキラキラしすぎていて、今のエリーちゃんに“リアルに似合うヘアスタイル”を考えた時、なかなか思いつかなかったんです。この子は変わりたい! という設定にすると、ちょっと野暮ったくみえているここを変えてこう変えてあげよう! と、たくさんアイデアが浮かんできました」
「エリーちゃんの髪質は、クリエイション撮影で使用したことがある非耐熱のファイバーウィッグに似ています。耐熱だとお湯につけて冷まして……とやるところですが、非耐熱のようだったので、つまんでドライヤーを全体にあてて温めることでボリュームをコントロールしました」
グリーンの服が似合いそう! から始まったエリー改造計画
コンテスターのトータルコーディネート力がすさまじいのは言うまでもない。今回エリーちゃんのイメチェン計画にあたって、氏川さんの思考回路はこうだ。
①グリーンの服が似合いそう! → ②イメチェンならハイトーンカラーがおすすめ、ブルベのエリーちゃんにはオレンジが似合いそう → ③メイクは服と髪の色とのバランスがよく、かつ大人っぽく見えるテラコッタにしよう!
「元々手芸が好きで、コンテスト衣装も半分は手作りです。中学・高校生の時から自分の服をつくっていました。高知の田舎出身なので、当時シノラーに憧れていたのですが服が売ってなくて……(笑)。今はマスクを手作りしたりもしています。今回エリーちゃんの体に合わせてグリーンのセットアップとキャミワンピをつくりました」
「テラコッタメイクは、ハデ髪と組み合わせると大人っぽくおさまります。今回、エリーちゃんのキラキラメイクをネイルのリムーバーで落として、眉、アイライン、リップ、チーク、目の中の色をテラコッタにしています。ウイッグのコンテストでのメイクと同じですね」
「オレンジの髪色は、いろんなペンで塗ってみて、一番油性マーカーがよかったです。ツヤ感も増しました(笑)」
大きく四角い頭はカットとスタイリングでチェンジ!
「販売されている時から頭に付いている透明テープのせいで、頭が四角くなっていて。さらに、後頭部が絶壁だったのでロッドを巻いてドライヤーで温めて冷まし、ふんわりと形をつけました!」
リカちゃん、ジェニーちゃんと比べても比較的大きな顔を持つエリーちゃん。日本人の体形に近い気もして、リアルといえばリアル。小顔に見せるため、氏川さんはレングスにこだわった。
「これは人間も同じなのですが、肩を隠すと小顔に見えるんですよね。ただエリーちゃんの場合、これ以上長くするとおさまりがつかなくて。これが私が考えるエリーちゃんのベストなレングスです!」
28歳から始めたコンテストは、自分がダサくなっていないか確認する場所
今年も、三都杯、KHA、THA、ミルボンフォトレボリューション……できる限りのコンテストに参加するという氏川さん。コンテストに臨む美容師なら氏川さんの名前を知らない人はいないほど、過去の受賞歴が多い彼女だが、初めてフォトコンテストに参加したのは28歳だった。
「自分がいる場所を言い訳にしたくない、そのために全国で賞を取りたい! と思って。まずはフォトコンテストに応募し始めて、だんだん入賞するようになってきました。フォトでは入賞しているけど、リアルは下手だよねって言われないために、次はカットコンテストに挑戦し始めて。正直初めはカットに自信がなかったのですが、賞を取れるようになって自信がつきましたね!」
「特にルベル主催の『I.D.2020』でIMPRESSIVE PRIZEを取れたのは嬉しくて。6年間挑戦して、そのうち3回はFINAL STAGEに進んだものの入賞できず。今年、やっと取れた賞だったので」
多くのコンテストで賞を手にしながら、35歳となった今もコンテストに出続ける理由についても聞いた。
「今私が一番恐れているのは、感覚が老いていくこと。ダサくなることなんです。コンテストに出ると、自分の立ち位置がすぐ分かるし、自分がつくったもの、オシャレだと思うものが、全国基準でイケてるかどうか一瞬で分かるんですよね。だから今後も出続けると思いますし、同じ賞でも去年と今年では選ばれる作品も違うので出続ける意味があると思うんです」
高知の美容専門学校を卒業後、東京での就職先が決まっていた。けれど家庭の事情で高知にとどまることに。その時の悔しい気持ちが、今も氏川さんの背中を押し続けていることは間違いない。
「コンテスト前はナーバスな気持ちにならないように、ずっと練習しています。ちゃんと準備ができてコンテスト当日を迎えられた時、不安はなくて早くみんなに見せたい! という気持ちになるんですよね。そういう気持ちになるまで毎回必ず練習をしています」
「コンテストは、参加すれば必ずスキルアップができる場所です」
帰り際のお客さまをいつも通り撮るように……
カットとカラーを終えたエリーちゃん。その姿は、来店した時のお姫様スタイルから、リクエスト通り、自分をしっかり持った大人で透明感がある女性へと大変身。
エリー:「私がこんな風になれるなんて、自分でも驚いています! 氏川さん、ありがとうございました」
氏川:「大人っぽくイメチェンできたね! シティーガールに大変身! これは絶対記念に写真に残した方がいいね😽ちょっと外に行って撮影しよう」
エリー「自分らしく頑張ります! また絶対実家に帰った時に髪切りにきますね。写真、うれしい💛ぜひお願いします」
そうして、エリーちゃんはniko hairをあとにしたのでした。
氏川りの[niko hair(ニコヘアー)/高知県・高知市]
うじかわりの/1985年1月9日生まれ、高知県出身。高知理容美容専門学校卒業後、1店舗を経てLABOONに入社。現在niko hairアートディレクター。JHAはもちろん全国のコンテストに名を轟かせるコンテスター☆
エリーちゃん連載③は、9月29日(火)更新予定! 担当美容師は、veticaの高木貴雄さんです。
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